最近つばめの前を通ると、水曜の夕方だけ、店の時計がちょっと止まって見える。気のせいかな。霧のせいで、ガラス越しだと針がにじむんだよね。
本町の銀杏が、いっせいに黄色くなった。落ち葉を掃くおばあちゃんが「今年は早い」って。毎年言ってる気もする。
図書館の返却期限を三日過ぎてた。カウンターの人に謝ったら「霧の季節はみんな遅れるんですよ」って。そういうものか。
商店街の福引きの季節。今年こそ自転車を当てたい。毎年ポケットティッシュ。
台風一過。港の方まで散歩したら、空気が洗われたみたいだった。夕方にはもう霧。この街の霧は台風にも負けない。
うどん屋のかどやで、隣のおじさんが「麺がやわい」って文句言いながら完食してた。わかる。あれはああいう食べ物。
敬老の日。二丁目の酒屋の前で、ばったり昔の担任の先生に会った。おたがい年を取った。先生は覚えててくれた。うれしかった。
プラネタリウム同好会って、まだあるのかな。昔いちど、星を見る会に混ぜてもらったことがある。望遠鏡をのぞかせてくれた会長さん、元気だろうか。ホームページ、まだ残ってるのを見つけて、ちょっとしんみりした。
夏祭りの提灯の準備が始まった。うちの町内の提灯、一つだけ字が裏返しに貼ってあるの、直す人がいないまま何年目だろう。
梅雨入り。マメちゃん(つばめの看板猫)が窓際で、うらめしそうな顔をしてた。外に出たいけど濡れたくない、あの顔。
母の日。カーネーションを買いに行ったら花屋のおばさんに「あんたも毎年律儀ねえ」って言われた。律儀くらいしか、取り柄がないので。
桜。霧越の桜は、霧と一緒に見るのがいい。ぼんやり白くて、夢の中みたいになる。
つばめの常連だった人、遠くに引っ越したんだってね。もう、あの店には掛けてこないのかな。マスター、さみしそうだった。珈琲は、いつもの味だったけど。
初雪。霧の街に雪が降ると、音が全部なくなる。しんとした本町を歩いて帰った。たまには、こういう夜もいい。